(人造昆虫カブトボーグV×V/勝治)

「勝治クン一人とは珍しいでーすねー」
「二人は居残りです」
 宿題を忘れた二人は先生から説教を聞かされているところだろう。宿題忘れ常習犯の二人にはちょうどいいかもね。いくら注意しても無駄だと思うけど。しばらくは効果あるでしょ。
「まぁでも……静かですね」
「そうですねー」
 僕はエレクトリカル・スピードワゴンを取り出し異常がないか調べる。二人がいないだけで静かになる。僕もロイドさんも個々に動く。
「勝治クン、何かネタはありませーんか?」
「ありません」
「そうですかー」
「……ロイドさんって案外大人ですよね」
「いきなりどうしたの?」
 ロイドさんはとぼける。僕の言いたいことは理解してるようだ。僕はあえて言葉に出す。
「演技が上手ってことです」
「お褒めいただき光栄でーす」
「こんにちはー」
 先生に酷く怒られたのか、不機嫌な二人が店内に入る。近くの椅子に座った途端二人の愚痴大会が始まった。一気に店内が騒がしくなる。
 リュウセイくんとケンは不思議な人だ。そう、思った。心の中にある闇を照らしてくれる。二人はそんなことこれっぽっちも考えてないだろう。

01 気ままに移ろう空のいろ

 ――身近な太陽は無意識のうちに僕らを照らす。
20110617up/TITLEbyothello/20120401役目終わり
(人造昆虫カブトボーグV×V/勝治)

 久しぶりに病院送りにされた僕は、一人空を眺める。一枚の葉っぱは落ちるか落ちないかのきわどいところで生き延びている。
 僕はお母さんに持ってきてもらった読みかけの本を開く。リュウセイくんやケンが『難しい』と言って一蹴したこの本は、確かに小学生には難しい言葉もいくらか出てくる。
 しばらく読んでいると、リュウセイくんとケンがお見舞いに来てくれた。
「その本読んでて面白いか?」
「まあね」
「これ、宿題だってさ」
 ケンはランドセルからプリントを取り出す。僕はプリントを受け取る。
 それから三人で話した。先生への文句だったりボーグバトルのことについてだったり、話題はなくなりそうもなかった。
 看護師に帰るように促されるまでずっと話していた。二人が渋々帰るときには太陽が傾きかけていた。
 僕はあの葉っぱの行方が気になり、葉っぱを探す。
「……あ」
 風が吹いて、必死にとどまっていた葉っぱが落ちる。その葉っぱは開きっぱなしの窓から病室に入った。
 僕は窓際に落ちた葉っぱを眺める。夕日の赤と葉っぱの茶色の色合いは終わりを想像させる。
 ちょっとした拍子でニンゲンも簡単に逝く。普段は偉そうにしてるけど、僕たちもあの落ちた葉っぱと同じなんだ。

02 どこかかなしい夕暮れのいろ

 ――命の終わりと似てるから。
20110617up/TITLEbyothello/20120401役目終わり
(人造昆虫カブトボーグV×V/エアボーグ)

03 静かにたたずむ月のいろ

 ――ボーガーの奮闘ぶりを無言で見守る。

 二度あることは三度ある。という諺があるように、一度あることは二度ある。ということもあるのかもしれない。
 ちょっとした用事で遠くに行くため、飛行機に乗ったリュウセイたちは機内で仮眠をとっていた。
『この中に“最強”のボーグバトラーは――』
 スチュワーデスは機内の異常を伝えずに例の方法でボーガーを集める。
 自称“最強”のボーグバトラー――ボーガーはスチュワーデスに案内され乗務員だけが入ることができる部屋に入る。
「お久しぶりです。またカブトボーグが暴れまして……。貴方達の力を貸してください」
 スチュワーデス――アメリアは頭を下げる。十一人の自称“最強”ボーガーは顔を見合わせた。
 不穏な空気を感じ取ったアメリアはボーガーに恐る恐る問う。
「あ、あの、皆様?」
「“最強”のボーガーはオレだぁぁぁ!」
「いや、“最強”は俺だ!」
「総帥が“最強”に決まっている!」
 アメリアの予想は的中する。彼女は嵐が早く収まるのことを祈り、機長に現在の状況を聞く。
「……はい、わかりました。――皆様、“最強”のボーグバトラーはお決まりになりましたか?」
 アメリアは機長から聞いた今の状況を簡潔に分かりやすく説明する。ちなみにバトルした結果、中華三兄弟が勝利した。これも見たことある光景だ。
 ただ一つ違うのは、リュウセイ、勝治、ケンも倒れていないことだ。ただし、ルールが分かっただけでは三兄弟のコンビネーションは破れない。
「また時限ボーグか。いったい誰が……?」
「テロリストの仕業でしょうか?」
「勝治クンの言う通りかもしれませんねー」
「チッ、小賢しい真似を」
 そのほかが会話をしているあいだに中華三兄弟は目的のカブトボーグを倒す。あのとき倒れていたリュウセイたち以外の誰もが、次の一手に警戒していた。
「メインコンピュータルームにもカブトボーグがいます」
「やはりか」
「ようやくオレの出番が来たか!!」
 ジョニーはカブトボーグを構え準備を整える。ロイドは首を横に振って、勝治を指す。
「ノー。ワタシは勝治クンが適していると思いまーす」
「ぼ、僕ですか?」
「そうでーす。前も提案したのですが……」
「あのときは戦闘不能状態だったからな」
 ボーガーXが苦笑する。勝治は周りを見た。渋々ながらの人もいたが、満場一致で反論する者はいない。勝治は覚悟を決めた。
 アメリアは話がまとまったときを見計らい、十一人をメインコンピュータルームの近くまで案内する。その途中にも時限ボーグはいた。
「ジョニー、ロイドさん!?」
「リュウセイ、勝治を頼む!」
 いつの間にかサングラスを外したロイドはジョニーと手を組み時限ボーグと戦う。アメリアと残りのボーガーはメインコンピュータルームに向かう。
 飛行機と乗客、乗務員の命運はカブトボーグとその使い手に託された。
 コックピットで必死に操縦している者はボーガーを信じ、なおかつ自分の役割を果たせるよう全力を尽くす。
20110617up/TITLEbyothello/20120401役目終わり
(人造昆虫カブトボーグV×V/巴)

 モデルになって何ヶ月経つだろう。スカウトされ渋々承諾したこの仕事は、いつの間にかやり甲斐を感じるようになった。
 テレビにも少しずつ出してもらえるようにもなる。そのなかで業界の裏も垣間見てしまう。
 テレビの前では優しい人も、実際に会うと嫌味を言われることもあった。今は慣れたけど、最初はショックを受けた。
 そんなある日、わたしはモデル仲間に相談した。わたしより何年も前にモデルになった、経験も年齢も上の先輩だ。
 先輩は茶化すことなく、親身になってわたしの話を聞いてくれた。
 わたしの話を聞いたあと、先輩は自身の体験談を交えながらアドバイスを言う。わたしはその話を聞いて、先輩からこの業界に生き残るためのすべをもらった。
 わたしは将来デザイナーになる。だから、そのためにモデルをある程度続けいろいろなファッションを見て学ぶ。辞めるときはあっさりと身を引く。
 一流のボーグバトラーにもなりたかったけど、どうもわたしは無理みたい。将来有望な男の子がいるから。
 かっちゃんの友人で勉強できない馬鹿だけど、誰よりもボーグバトルを愛してる少年が、……ね。
「――ところで、どうしてここにいるんですか?」
「かっちゃんの可愛い顔に癒されに来たの」
「大丈夫ですか?」
 反抗期のかっちゃんは冷たく突き放すように言ってるけど、本当は嬉しいのよね。わたしはかっちゃんに抱きつく。
「大丈夫♪」
 リュウセイ君やケン君、ロイドさんは何も口を挟まない。普段なんらかの被害に遭ってるのか、それとも自分たちにまで被害に遭わないための自己防衛の一種か……。
 そのおかげでわたしは自分を出すことができる。ちょっとおませさんなかっちゃんにはピッタリの人たちかもしれない。
「さ、ボーグバトルしましょう」
 わたしはかっちゃんから離れ、愛機――エレクトリカル・ドルフィンを取り出す。幼い頃からのパートナーだ。
 根っからのボーガーであるリュウセイ君とケン君は、“ボーグバトル”という単語を聞くと目を輝かせる。
「もちろんタッグバトルでね」
「……あぁ」
 もしここが外だったら風が吹いてもいいような状況になる。わたしたちは定位置に着いた。一対一でバトルするより勝率が上がるし、かっちゃんと一緒にバトルできるのが楽しい。
 それぞれのカブトボーグを手に持ち、わたしとかっちゃんとでルールを宣言する。
「チャージ三回、ノーオプション、ノーオプションダッグバトル!」

04 ゆるりとそよぐ風のいろ

 ――さぁ、始めるわよ!
20110617up/TITLEbyothello/20120401役目終わり
(ポケットモンスターAG/シュウ,ハルカ/ハルカinジョウト)

05 気ままに移ろう空のいろ

 ――まるで君みたいだ。

「シュウ、明日のコンテストは負けないかも!」
「まったく、美しくないね」
「悪かったかもー」
 ハルカはそっぽを向く。僕はいまだに変わらない彼女の反応を見てつくづく面白い子だと思う。
「美しいって言われたいのかい?」
「…………、無理」
「だろう?」
「なんかムカツクかも〜っ。シュウ、明日のコンテストは絶っ対に負けないんだから!」
「かもちゃーん、アンタはアタシに負けるのよ!」
「ハーリーさん!?」
 ハーリーさんの登場にハルカは思い切り驚く。僕は多少驚いたが表情に出しはしない。
「ハルカは僕が倒しますから安心してください」
「かもちゃんはアタシの獲物よ!!」
「いいえ、僕のライバルです」
「あら嫉妬ぉ? 素直に『僕のハルカを取らないでください』って言っちゃえば〜?」
「そんなこと誰が言いました?」
「あのー……」
「また明日、コンテストで」
 うるさくなりそうなので僕は退散する。
 ハーリーさんも出るようだし……、やれやれ、明日はどんなコンテストになるのやら。
20110617up/TITLEbyothello/20120401役目終わり
(デジモンアドベンチャー/ヒカリ)

「お兄ちゃん、ちょっと来て!」
 家族全員で大きな公園に来ている。ミーコも逃げないようにして連れてきた。いつも行く公園と違って、緑が広がっている。
 わたしは迷子にならない程度に辺りを歩いていた。
 途中、お花がたくさん咲いてるところを見つけしゃがみ込む。なかでもピンク色のお花をわたしは眺めていた。
「どうしたんだ、ヒカリ」
「このお花、持って帰っていいかな?」
 お父さんと一緒にサッカーをしていたお兄ちゃんがわたしのところに来た。わたしはピンク色のお花を指さす。お兄ちゃんは首を横に振った。
「どうせ枯らすだけだろ。それにこの花はここにいるほうが似合うぜ」
「……分かった。ヒカリ、見るだけで我慢する」
「ヒカリは偉いな」
 お兄ちゃんはわたしの頭を撫でてくれた。わたしは嬉しくなってお兄ちゃんに抱きつく。お兄ちゃんは照れながらまた頭を撫でてくれる。
「太一ー、ヒカリー、お昼にするわよー!!」
 お母さんがわたしたちを呼ぶ。お兄ちゃんはすぐにお母さんの所に行っちゃった。
 わたしはお花をもう一度眺める。お花の色はあのトモダチに似ている。お花は太陽の光を浴びて、輝いていた。
「(コロモン、元気かなぁ……)」
 ちょっとだけしか一緒にいれなかったトモダチは今どこにいるのかな。元気でいるのかな。
 お兄ちゃんはすっかり忘れててるようだけど、……また、逢いたいな。三人でここに来て、一緒にお花眺めよう。
「ヒカリー!!」
 お兄ちゃんがわたしを呼んでる。よっぽどお腹空いてるのかな……。わたしはお花にさよならした。

06 日なたにまどろむ花のいろ

 ――お花は太陽の下でキラキラ輝く。
20110617up/TITLEbyothello/20120401役目終わり
(ポケットモンスターAG/ハルカ)

 ワタシは海岸沿いでポケモンたちと練習する。明日はコンテストがある。ミクリカップが終わって初めてのコンテストだ。
「アゲハント、銀色の風!」
 今回は初心に返り、アゲハントでコンテストに挑む。初めてコンテストに出たときのポケモンはアゲハントだった。なんの気なしに出たけど、負けたときは悔しかった。
「バタフリー、銀色の風」
「シュウ!?」
「吹っ切れたみたいだね」
 絶不調のなか、シンオウ地方で開催されたミクリカップに参加できたのはシュウやサオリさん、ハーリーさんのおかげだ。
 サトシたちと一緒に旅をしているヒカリっていうコも絶不調だった。ワタシは先輩らしく振る舞いながら彼女から元気をもらった。
「おかげさまで。負けたけど楽しかったかも」
 シュウは前髪をかき上げる。ワタシはいつものように嫌味の一つでも言われると構えていたが、現実は違った。
「どういたしまして。ハルカ、コンテストバトルの練習相手になってくれないかい?」
「……しょうがないかも」
 彼はアゲハントと戯れていたバタフリーを呼ぶ。ワタシもアゲハントを呼んだ。それぞれの位置につく。シュウは身振りでワタシに先攻を譲ることを伝える。ワタシは頷きアゲハントに技を指示した。
「アゲハント、銀色の風!」
 華麗で優雅で力強い風は攻撃にも防御にもなる。技やポケモンを魅せることに重視するのがコンテストバトルは普通のバトルと性質が違う。普通のバトルしか見てなかったワタシには新鮮だった。
「バタフリー、花びらの舞」
「サイコキネシスで反撃してっ」
「かわせ」
 昔からシュウはキザだ。最初は嫌なやつとしか思えなかったけど、今は最高のライバルとワタシは思っている。
「アゲハント、上へ飛んで!」

07 きらきらと咲くいのちのいろ

 ――アゲハントの舞はどう?
20110617up/TITLEbyothello/20120401役目終わり
(デジモンアドベンチャー02/耀,ヒカリ,美紀,萌/02小五組中学生)

「降らんね」

「はぁ……」
 昼休憩、アタシは窓から空を見て溜息をつく。今屋上で一人のんびりしている。
 空は快晴だ。……天気予報どおり。
 普段は晴れで嬉しいはずなのに今日に限っては雨の日と同じくらいテンションが下がる。
「はぁ……」
 ――二度目の溜息。
「どうしたの、耀ちゃん?」
 いつの間にかヒカリが来ていた。アタシの横に座る。
 アタシはまた溜息をした。これで三度目だ。アタシ、どれだけ溜息してるんだ。
「部活、グラウンドだよぉ〜」
「そっかぁ。大変だね」
「でっしょ〜? マジで雨降らんのかねぇ?」
「ん〜、どうかな」
 ヒカリは複雑そうな笑みを浮かべる。アタシは空を睨みつける。
「あ〜あ、降らんね〜」
「……わたしは、そっちのほうがいいな。雨って気分が滅入るから。それに――」
 彼女はうつむく。アタシはどうしたらいいのか分からず、雲がない空やヒカリを交互に見る。
「ごめんね、変なこと言って」
 ヒカリは笑みを浮かべた。アタシには真似できない、彼女独特の笑み。
「……べ、別に謝ることじゃないし、ね?」
 何が「ね?」なんだよ! こーゆー雰囲気が苦手なアタシは意味不明な言葉をよく言う。
「わたしも耀ちゃんみたいに雨が好きになればいいのに」
「ヒカリはヒカリじゃん! アっタシみたいなのになったら大変だよ〜」
 ふざけたように言ってみた。ヒカリは微笑む。正直雨は滅入るときが多い。でも今回ばかりは……。
「教室に戻ろっ!!」

「教室人少ないねー。次なんだったっけ?」
「家庭科だよっ。ヒカリ、耀、急がないと!」
 美紀が家庭科で作っているエプロンを持ちアタシたちに話し掛けた。ドアでは萌が待っている。
「耀ちゃん、あと十分……っ!」
「まぁ大丈夫か」
 慌てるヒカリに対してアタシはのん気に答える。家庭科はあんまり好きじゃない。
 玉止めや玉結びなんて細かい芸アタシにはできない。
「耀が大丈夫でもワタシたちが許さない」
 美紀は笑いながら脅す。ドアのそばにいる萌からも黒いオーラが見え隠れしている。
 ちょ……二人とも、そんなに焦らなくてもいいじゃん……。

「(……雨、降らんなぁ)」
(降らないね)/20101212up、20110430,20110528改/TITLEby空天/20110617役目終わり
(デジモンアドベンチャー02/タケル,京,伊織,ヒカリ/02小五組高校生)

「ヒカリ……急ぎの用?」
「う、うん。ごめんね、雅ちゃん」
「大変なのは重々承知だから。行ってらっしゃ〜い」
 パソコンの前に立っていたヒカリを見て雅は笑顔で見送る。
 本当は二人で遊びに出かける予定だった。雅は読みかけの漫画を開く。
「(今日は休養日っと)」

 * * *

「Dターミナルにメールだわ」
 ヒカリはDターミナルの画面を見、返信をする。雅との予定をドタキャンしてしまったことに後ろ髪をひかれつつテイルモンを捜した。


「テイルモン!」
 早速究極体へと進化させデジモン――“闇の力に侵されつつある”デジモンに攻撃をするようヒカリは指示をした。
 テイルモンの究極体――ホーリードラモンは攻撃する。
 デジモンはまだ完全に力を得ていなかったのかすぐに姿が消え粒子となった。一般的にいう“死”だ。
 余談だが、倒された“闇の力に侵されつつある”デジモンは浄化されデジタマに還るらしい。

「久しぶりねっ!!」
「ありがとうございます」
「ヒカリちゃん、急に連絡してごめん」
「友達とは喧嘩しなかった?」
 上から京、伊織、タケル、賢の順番で挨拶を交わす。

「雅ちゃんだから大丈夫よ」
「京さん二号のことですね」
 そんなことを言うのは伊織だ。2002年の“出来事”があってから彼も冗談を言うようになった。
「伊織、雅ちゃんに可哀相だと思わない? って……アタシ二号ってどういう意味ーッ?!」
「京さん、落ち着いてください」
 賢が京をなだめようとする。それだけで彼女の怒りが収まるわけでもないのは賢も重々承知だ。

「ヒカリちゃん、今度試合あるんだけど見に来てくれるかな?」
「分かった。あとで日時教えてね」
 タケルとヒカリは二人の世界を展開している。ここに大輔がいたらさぞかしうるさそうだ。
 デジモンたちは仲良く遊び始めていた。テイルモンが保護者になり思う存分走りまわっている。約一匹は飛び回る、だが。

 どうして京たちがデジタルワールドにいるかというのは、たまたま彼女たちが当番だったからだ。
 念のためにということで月に一回は三人以上で見張りに来る、ということを決めたのは2003年の夏だった。
 ちなみに先月は太一、ヤマト、空、光子郎が見張りに来たらしい。
 大輔はラーメンの修業で思うように空き時間が作れない。実際彼が見まわりに来たことはあまりない。

 かつてデジタルワールドに選ばれた子供たちは自分の意志でこの地を踏む。
 大切な相棒の住む、第二の故郷を守るために。

選ばれた者たち

(ブイモン元気にしてるかなー)
(大輔、手を休めるな! しっかり麺に集中せいっ!)
(すいませんっ!)
20101212up、20110430,20110528改/TITLEby空天/20110617役目終わり
(人造昆虫カブトボーグV×V/リュウセイ,勝治,ケン)

世界で一番のお客様

リュウセイさん「だからこそ言おう! ……勝治、どうしたんだよ?」
勝治「リュウセイくん、ここは僕が言うよ。――お客様は、神様なんだぁぁぁ!!!」
ケン「勝治が神になった!」
リュウセイさん「今の勝治にはオレも勝てそうにねぇな」(上から目線)
勝治「フフフ……」
こうして、勝治は神になった。〜完〜
ケン「って終わるのかよ!」
???「作者に石投げちゃいます!」

 * * *

 ボーガーといえど学生業もこなせるようにならなければ常識が身につかない。
 社会を知らない子供といえど、学生ボーガーもなかなか大変なのだ。
 特に、天才ボーガーでもあり小学生でもある勉強が大嫌いな天野河リュウセイには。
 ここは通称ロイドの店。いつもの四人がよくたむろする場所だ。
「勝治ー、宿題見せろー」
「えー、たまには自分でしたらー?」
 宿題を見せろとリュウセイにお願いされている男の子は松岡勝治。
 リュウセイの親友でもありボーガーだ。ちなみにかなりモテるし頭がいい。
「頼れるのはお前だけなんだ!」
 勝治はジト目でリュウセイを見下す。普段は優しいがかなりの毒舌家である。
 ボーグバトルでは右に出る者はいないリュウセイだが、教養分野では勝治が有利だ。
「よっ」
 ここでようやくツッコミ係がやって来た。龍昇ケンは二人に比べ、“まだ”普通な方だ。
「ケン、リュウセイくんが宿題教えてほしいらしいよ」
「勝治!?」
 意地の悪そうな笑みにリュウセイは口をパクパクさせることしかできない。
 ケンはまんざらでもない様子でリュウセイに問う。
「で、どこだ?」
 リュウセイはなんでもないとごまかし、ボーグバトルの練習をしようと提案する。
「(まったく……)」
 勝治は壁にかけてある時計を見る。そしてロイドに声をかけた。
「ロイドさん、予定があるので帰りますね」
「分かりました。あとで伝えまーすねー」
 一方、リュウセイとケンは早速ボーグバトルをしていた。
 ……勝治の言う“予定”がデートだったというのは知る由もない。
20110430,20110528改/20110617役目終わり
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